FF14阿修羅装備(黒魔)の制作
普段作らないようなタイプのコスチュームを作っています。かたりぃなです。
今回は妻の発案でつくりはじめました。私自身は戦記ヒラ装備みたいな洋風の煌びやかなものが好みですが、妻の好みは私のそれとは対照的で、阿修羅装備(黒魔)が欲しいとのこと。もともと和服が好きらしいので、衣装のデザインを見せられたときに「なるほどねー」といった感じでした。
それにしてもFF14の装備品って立体的にできていて苦労させられます。まあこうやって構造とか考えながらあーでもないこーでもないと試行錯誤するのが楽しみではあるのですが。
そんなこんなで、まずは造形部分を作ってみました。衣装の形状を分析すると次のような造形パーツから成ります。
- 腕アーマー
- 肩当て
- 胴アーマー
- 腰アーマー
この中で作りやすそうな腕アーマーをさくっと作ってみました。さすがに慣れてきたのか、作業にかかった時間は一週間くらいです。
つくりかた
- 型紙を起こす
- 5mm厚ライオンボードを型紙に合わせて切り出す
- 切り出したライオンボードのフチを炎であぶって整える
- 1.5mm厚のライオンボードを5mm幅の短冊状に切り出す
- 4で作った短冊状のライオンボードを3のフチにボンドで固定して装飾にする
- 装飾の穴をあける
- ライオンボードを熱加工して曲げる
- ブラックジェッソで下地塗装
- クリスタルバーニッシュで仕上げ塗装
基本的にいつもどおりの手順なのですが、今回は黒魔用の衣装のためか全体的に真っ黒なので下地塗装は黒色のジェッソを使いました。
下地の様子をみて塗料を塗るつもりでしたが、下地だけできれいな黒色になったので、塗装せずにコーティングのみにしました。
仕上げのコーティングなしで大丈夫かもとか思ってましたが、コーティングなしだとパーツ同士がこすれたときに傷のようなものが残ってしまうのでコーティング剤を塗ることにしました。
コーティング剤は今回初めて試したアクリル絵の具用のクリスタルバーニッシュです。焼きを入れた金属のような光沢になって満足です。どうでもいいことですがクリスタルバーニッシュって必殺技っぽいネーミングですよね。
途中経過の写真を何枚かとってみたので載せてみます。
ライオンボードを切り出す
カッターの切れ味が悪かったせいか、カットした部分が毛羽立ったようになってしまいました。
次の工程でこの毛羽立ちはなくなるので気にしない。
炎であぶって毛羽立った部分を整える
フチの部分をあぶると毛羽立っていたりする部分が溶けて、このように目立たなくなります。
百均のライターでもいいのですが、仏壇用のローソクを立ててやったほうが作業しやすいです。ライターが熱くなって持つのが大変ってこともなくなりますし。
ちなみにこの処理をしておかないと、次の下地処理の段階で何度塗っても毛羽立ちが消えないという状況になってしまうので注意です。
装飾をつける(縁取り、穴あけ)
今回も5mmの幅のライオンボードをフチの装飾に使いました。
最下段のパーツだけは5mmだと幅が広すぎるので、その半分(2.5mm)にしました。
穴ははんだごでで開けられます。はんだごてが温まったらその熱でライオンボードを溶かすという使い方です。私は電子工作もやるので、次の2つの理由からそれぞれ専用のこて先を使い分けています。
- はんだ以外のものでこて先が汚れると電子工作に使いづらい
- はんだが衣装に移るのが怖い
また最下段のパーツは単純な丸穴なので、レザークラフト用のポンチであけました。レザークラフトの道具って色々使えて便利です。夜間に作業できないという欠点はありますけど、綺麗な丸穴はこっちのほうが仕上がりが綺麗です。
下地塗装と仕上げ
下地にはブラックジェッソ、ライオンボードの穴が埋まるまで何度も何度も塗り重ねます。凹凸が激しいところはその凹凸を埋めるようにゆっくりと何度も塗り重ねます。
ひととおり凹凸が埋まったら、ジェッソを水で適当に薄めて表面をならすように塗り重ねます。濃いままだと凹みにジェッソが入りにくいのか埋まりにくい気がします。
以前作った戦記装備は光沢を綺麗にするために表面にヤスリがけして滑らかにしましたが、今回は無しです。妻曰く「中世的な世界観だから、金属そのものが貴重だし、加工技術も発達していないから、多少は凹凸が残っているほうが味があって好き」らしいです。なんか説得力ありますね。
各パーツを塗装し終わるとこうなります。
完成
それぞれのパーツを接着材で固定して完成です。
造形にも慣れてきたのか、思ったよりも綺麗にできてびっくりです。
本家のデザインをよくみるとツノっぽい物体が出ていますが今回は無しで。ちょっと手間かかりすぎる予感がするので夏コミまでに余力があったらということで。たぶんないけど。
だって造形パーツはちまちま作っているけど本体の布工作のほうはまだ手を付けていませんし。
おまけ(腰アーマー)
剣道の防具でいうタレみたいなやつもついでに作りました。これは腰の左右の防具ですが、前後もまた別途つくります。
腰防具のデザイン上は腰回りをがっちりガードする構造ですが、そのままだと歩けなくなるので可動部を付けてあります。写真上のほうが腰にあたりますが、上から2つ目までのパーツはボンドでの接合ではなくレザークラフト用のカシメで止めました。これでイベント会場でも動きやすいと思います。
写真をよく見るとクリスタルバーニッシュの塗りムラがありますね……気が向いたらちょっと塗り重ねようかな。
それでは今回はこれくらいで。
【コスプレ】FF14のタイラスを作ってみた
作業に夢中になっていると途中経過の写真撮るのを忘れがちです。かたりぃなです。
今回も3D切削加工機でスタイロフォームを削って作りました。
そんなこんなで、やっと完成しましたよ。タイラス。
完成写真
向かって右上の翼が外れかけていますね。。。
翼の固定方法は色々と試行錯誤した結果、本体内部でハリガネをヒートンに差し込む形で固定したのですが、これが限界でした。
今回初めて知ったのですが、物をつりさげるための固定具の金具ってヒートンって名前なんですね。
ちなみに、ヒートンと比較して開いているものは「よーとう」、直角に曲がっているものは「よーおれ」と呼ぶらしいです。
接着材で翼と本体を完全に固定してしまえば安定するのですが、そうすると持ち運びが不便極まりないです。
個人でやるコスプレってこういうところで苦労しますね。
作り方手順
- スタイロフォームを切削機で加工して翼のパーツを制作
- 加工したパーツをボンドでくっつける
- 翼の金色着色する部分と白色部分の境界部分をリュータで削る
- 全体をジェッソで下地塗装します
- 接着部分などの凹凸を削って埋めてを繰り返す
- ジェッソの上からグロスメディウムを塗装してつやを出す
- エアブラシで塗装
- トップコートで塗膜保護+つや出し
- レンズを加工するために塩ビ板を切り出します
- 切り出した塩ビ板をヒートプレス加工して丸みを出す
- 一枚では透けてしまうので複数枚の塩ビ板を加工して重ねます
- レンズ取り付け用の磁石をレンズと本体に接着します
途中経過の写真の数が1枚しかないので、工夫したポイントを重点的に書いてみます。
3D切削機を使うメリット
今回もまだ慣れない3Dモデリングだったので「基本的な形状だけ機械で作っておいて、細かい模様などは後から手で直したほうが早い」と思っていました。
ただ、最近あちこちで見かける3Dプリンタの熱溶融方式では一般的に内部が空洞となり、「後から削って修正する」という手段を取りづらいということは聴いていました。
そこで3D切削加工機でスタイロフォームを削るという方式を取りました。
スタイロフォームは使い慣れているので、後から模様を彫ったりするのも簡単にできます。
そんなこんなでスタイロフォームを加工し終わったところです。
今回もこちらの工房の機械をお借りしました。
レンズの取り付け方法
レンズは磁石の磁力を使ってくっつけることにしました。
接着材で固定してしまうと、後述のギミックを埋め込むための加工が難しくなってしまうからです。
レンズ自体には負荷がかかることはまずないので、百均で売っている磁石で十分接着できました。
接着はグルーガンで。樹脂をたっぷりと磁石が動かないくらいに出して固定します。
光らせたい!
現状では未実装なのですがゲーム中では光っているように、構えた時に光らせるとかやりたいです。
写真には写っていないのですが、内部で配線だけは済ませてあります。
スイッチは本体装飾の下のほう埋め込み済みで。
あとは電子回路の制作と輝度の調整をすればできそうです。
感想
物を作るのって楽しいですね。
3Dモデリングにも慣れてきたので3Dプリンタ買ってしまおうかとも思っているのですが、なかなか踏ん切りがつきません。
最近主流の熱溶融方式の3Dプリンタだとフィラメント(3Dプリントする原料。ふつうのプリンタでいうインクみたいなもの)がお高いので、悩み中。
ものを作る・売るということ
こういうモノ作っているという話をすると「売れるんじゃない?」と返されることがあります。確かにパっと見のインパクトから売れるかもしれません。
ただ今回作ったFF14のタイラスは試行錯誤にかかった時間+工房の利用料金などを含めると、現実的な数字には到底ならないです。
そんなこんなで自宅に3Dプリンタ欲しいなと思っている次第。
さて、ものを売る・買うの話になると誤解されやすいのですが、「大儲けしたい」みたいな欲望は私は持っていません。そもそも、お金儲けを目的にするのってコスプレの本来の楽しみ方とは違う次元のお話だと思っています。
こういった売り買いの話になると業者の存在について語られることがありますが、業者製の衣装でイベント参加している方も大勢いるので、衣装業者自体を否定するつもりはありません。
コスプレ衣装の業者様は「手作りできないからと諦めていた人たちでもコスプレイベントに参加できるようになった」という大きな功績を収めていると私は考えています。
対して、私のコスプレ衣装やアイテムづくりの根底にある思いは「その作品・キャラが好きだから、自分が欲しいものを現実世界で形にしたい」といったところです。誤解を恐れずに表現するなら「大人のごっこ遊び」です。
私にとってはイベント会場で自分が作ったものを見て「あのキャラだ!」とか反応してもらえるだけで充分幸せですし、同じジャンルの人とあわせ写真とったりすることが何より楽しいです。
もし売るとしても、今の私の力ではせいぜい「材料費と手間賃を出すので、同じものもう一本つくれませんか?」に応えるのがギリギリなんじゃないかなぁと思います。
FF14タイラスの制作(先端部分の装飾)
コスプレ用に作っているタイラスが少しずつ形になってきました。かたりぃなです。
今更ですがタイラスって何かの生命体がデザインのベースになっているのでしょうか。フクロウっぽい?
さて、今回はタイラスの杖先端部分の飾りの塗装です。
ほとんどのパーツは切削型3Dプリンタで削りだしたので、人力でやる作業はパーツの組み立てと塗装くらいです。
今回の作業で一番大変なのは塗装の下準備でした。
作り方手順
- blenderでモデリングします
- モデリングしたデータをSTL形式でエクスポートします
- 切削機にSTLデータを流し込んでスタイロフォームを削っていきます
- 削り終わったスタイロフォームのパーツを組み立てます
- 組み立て時に出た誤差を補正するため、表面の段差が目立つ部分をリューターで削ります
- ジェッソで塗装下地処理しつつパーツの隙間を埋めます
- ジェッソの表面の凹凸を無くすために紙やすりで削ります
- ジェッソが乾燥したらグロスメディウムを全体に塗ります
- グロスメディウムが乾燥したらマスキングテープで金装飾以外の部分をマスクします
- 今回の塗装は2段階です。まずガイアノーツのブライトゴールド(品番010)で全体を塗装します
- 次にガイアノーツのパールゴールド(品番132)で輝きを調整します
スタイロフォームの塗装
スタイロフォームを塗装するのは今回が初めてでしたが、ライオンボード塗装で失敗した時の教訓が活かせたと思います。
特に凹凸がなくなるまでしっかりと塗りたくっていくあたり。
スタイロフォームを切削加工すると、装飾の凹凸などの形状が複雑な部分はどうしても表面が毛羽立ってしまいます。
ライオンボードの下地処理に比べて、体感で2倍くらい下地処理の時間をかけた気がします。
マスキングテープでのマスキング
マスキングテープは太さなどが異なる種類がいくつもあります。
広い範囲を覆うときはマスキングペーパー(マスキングテープにマスキングペーパーがくっついたもの)を使い、細かい部分を覆うときは細めのマスキングテープを切って調整しながら張っていくとうまくできました。
細かい作業が続くとどこかで手抜きしたくなりますが、失敗した時のリスクを考えると、しっかりと細部までやっておいたほうがよさそうです。
マスキングして塗装まで終えたときの写真がこちら
塗料の組み合わせ
FF14のゲーム画面でタイラスを見ると、若干くすんだ金色でした。
そこで、今回は2段階で塗装して風合いを調整しました。
前回作成した戦記装備(ヒーラー)のアーマーの金色塗装でパールゴールドが思ったほど発色が良くない(幾度も重ね塗りが必要)ということがわかっていたので、一段階目でくすんだ金色を、2段階目で煌びやかな金色を塗ることにしました。
2段階目の金色(パールゴールド)を吹く量を調整することで、風合いを調整できました。
このやり方が正しいのかどうかわかりませんが、イメージに近い金色が再現できたので個人的には満足です。
タイラス先端部の装飾パーツ完成
完成したものがこちら
側面に空いている穴は翼のようなパーツを差し込むための穴です。
あと前面にレンズのようなものを付ける予定ですが、内部から照らせるようにしようかと思っています。ゲーム内では点灯・消灯の2パターンしか無さそうなので、単純なLED点灯回路とスイッチだけで済みそうです。
今回はここまで。
コスプレ ff14戦記装備(デイスターローブ) 前掛けの装飾の制作
戦記(ヒーラー)装備つくってます。かたりぃなです。
今日は前かけ(ふんどし?)部分の装飾を作ってみました。
完成図
この前かけは後ろからは見えない(ローブのスカートがある)ので、表面だけ布張りをしています。裏面はライオンボードむき出し。
材料
本体表の白色:デイスターローブにも使っている生地
本体裏:ライオンボード3mm厚
本体表の金色:合皮(金色)
中央赤色の装飾:塩ビ板(赤)1mm厚
接着材:グルーガン、瞬間接着剤
基本の作り方
- 型紙にそってライオンボードと白色の布を切り出す
- ライオンボードと布をグルーガンで接着
- 合皮(金)を5cm幅の帯状に切り出す
- 3の帯状の合皮を白色の布のフチに接着材で固定(表面同士くっつける)
- 帯状の合皮を折り返して裏面のライオンボードに接着材で固定
- 白色の布を装飾の型紙より少し大きめに切り出す
- 6で作ったものを型紙と同じ大きさになるよう切り端を折り返してグルーガンで固定
- 7で作った模様を本体の表面にグルーガンで接着
- クリスタルパーツを作って瞬間接着剤で固定
基本的な装飾パーツの作り方ですね。
今回はクリスタル部分の制作がうまくいったので、詳しく解説します。
クリスタルパーツの作り方
今回の戦記(ヒーラー)のデイスターローブには赤色のクリスタルが多く使われているので、この部分は塩ビ板のヒートプレス加工で作ることにしました。
最初はレジンに挑戦しようかとも思ったのですが、ローブの裾のクリスタルだけでも26個もあって、全部レジンでやると金銭的にも物理的にも重すぎるので…。
ヒートプレス用の型作りも手抜きでやっていますが、レジンに比べて安く早くできるというメリットがあります。
ヒートプレスとは?
これはガンプラの本を読んで知った手法です。
あらかじめ作っておいた型に、熱して柔らかくなったプラ板を押し当てて形状を複製する。という手法です。
動画サイトなどを見ると手順が詳しく説明されているので参考になるかと思います。
ヒートプレス用の型づくり
私は美術が苦手だったので粘土などで型を作るのはまず無理です。
そんな私でも少し工夫して型をつくることができました。
まず工作用紙をカットして、目的の形になるようにセロハンテープでくっつけて組み立てます。
紙なのでトライ&エラーが簡単にできます。
目的の形になるよう何度もカットと接着して、納得できる形になったら改めて工作用紙から型を切り出します。
ヒートプレスでは底の面がどうしても丸くなってしまいがちなので、型は若干大き目に作っておくと綺麗な形に仕上がりやすいです。
(底面付近の丸くなってしまった個所は加工した後で切り捨てる)
さて、このままヒートプレスしてしまうと圧力でつぶれてしまうので、内側をグルーガンでカチカチに固めます。空洞が残らないようにグルーガンを塗る順序に気を付けましょう。
ヒートプレス加工
このあたりの手法はすでにあちこちのサイトで紹介されているので説明は省略します。
ただ慣れるまではどうしても失敗が付きものです。何度か練習してコツをつかむまでは綺麗に形が出ませんでした。
ヒートプレスの後処理
加工後のプラ板をホットカッターでカットします。
カッターやハサミでもいいのですが、ホットカッターのほうが力を入れなくてもスっと切れるので失敗しにくいです。
型自体を大き目にしてあったので、目的の形になるまで少しづつ切り詰めていって完成です。
ヒートプレスでのコスプレ衣装制作まとめ
今回はガンプラの資料を参考にヒートプレスで作った装飾品制作手法の特徴を整理します。
安価で短時間でできる
プラ板一枚は数百円です。また型に使った工作用紙や型の補強に使ったグルースティックも百均で揃えました。
型を作るのに1時間程度。この型からパーツを3つ加工して切り出すまで2~3時間でした。
レジンだともっと手間暇かかりそうです。(私がまだ慣れていないというのもありますが)
型の寿命が短い
グルースティックで作っている特性上、どうしても熱で溶けてきてしまいます。
特にヒートプレスするときに熱いプラ板を押し当てて圧力をかけることで歪んでしまいます。
今回の型では7~8個作るとダメになってしまいました。
一個作るごとに形を修正するのもテですが、型の作りなおしができるように型紙をコピーしておくとよさそうです。
プラ板の色が変色する
熱加工する特性上、プラ板がどうしても変質します。これにより、店頭購入した時よりも色が全体的に黒っぽくなってしまいます。
色にこだわるのであれば無色のプラ板を加工してから塗装したほうがよさそうです。
さて、目的のものが完成したので今日はこのあたりで。
タイラスを切削型3Dプリンタで出力
タイラス作ってます。かたりぃなです。
まずはじめに。今回使っている3Dプリンタは切削型です。(ROLAND社のMDX40A)
巷でブームの3Dプリンタ(積層型)との違いをメインにどんなものかを紹介しようと思います。
また、今回作ったパーツを写真付きで紹介します。
とりあえず出力してみたタイラス(FF14)の装飾部分の画像。いい感じに形になってきました。
形ができてくると嬉しいしモチベーションアップにもつながるので良いですね。
3Dプリンタ(切削型)って?
私見を含めて、巷でブームの3Dプリンタとの根本的な違いを説明します。
まず最近騒がれている積層型は材料(フィラメントなどと呼ばれる)を溶かして、目的のものを作る3Dプリンタです。
小さな積み木を積み上げていくイメージですね。コスプレイヤーがよく使う手段のグルーガンで模様を描くのをパーツ全部でやるくらいの感じ。
それに対し、切削型3Dプリンタは材料を削って目的のものを作る3Dプリンタです。
イメージとしては、丸太を拾ってきて仏像を彫りあげるみたいな。
どちらにも一長一短あると思いますが、私が切削型を選んだ理由などを交えて簡単に整理します。
3Dプリンタ(切削型)のメリット
大きなものを作れる
シェア工房などで個人が利用できる3Dプリンタの範囲で調べた限りでは、積層型では10cm四方など小さなものしか作れないことが多いです。
切削型では厚みにこそ制限がありますが、30cm x 30cmといったものを削ることができます。
特に今回のタイラスでは球体部分だけで15cm x 20cmといったサイズなので、パーツ分割と結合が結構大変なのではないかと思います。
ただ、切削型でも厚み制限があるので、パーツ分割はどうしても必要になってきます。
肉抜きという手間がいらない
今回のタイラスでは、見た目の装飾を重視しています。特に凹凸部分を綺麗に出せるのは3Dプリンタならではです。
3Dプリンタ(切削型)は材料を削ってものを作り出すという特性上、内側(裏面)は印刷しないのであればただの一枚ポリゴンでデータを作ってしまっても良いです。
対して積層型では全部を出力すると材料が莫大に必要になってしまうので、「肉抜き」という作業が必要になります。
今回のタイラスの装飾では中空にするつもりなので、裏面は加工せずに時間短縮しています。
3Dプリンタ(切削型)のデメリット
加工できない形状がある
今回使用した3Dプリンタ(積層型)らドリルで削るものです。これは、加工の方向を考えてあげないと、削れない部分があるということです。(凹凸の隙間が削れないことがある)加工するためのドリルは素材の真上からしか降りてきません。コの字型になった窪みは削れないということになります。
ごみが大量に出る
今回スタイロフォームを削りだしてみましたが、驚くくらい大量のゴミが出ます。
スタイロフォームはそれほど高い素材ではないので良いのですが、ケミカルウッドや木材の加工になってくると、削って捨てる部分が多くなればなるほど材料費に跳ね返ってくるので、注意が必要です。
ゴミの量は、この写真のように粉末が大量に飛び散ります。
粗削り作業中
仕上げ作業中
積層型と切削型どっちがいい?
色々と書きましたが、ぶっちゃけ私自身積層型を使ったことないので、一概にどちらが良いとは言い切れないと思います。ただ、シェア工房などで利用できる3DプリンタやCNC(切削型3Dプリンタはどちらかというとこの部類に入る)と呼ばれる機械では大きさ制限というものがついてくるので、
「何をしたいか」が明確になっていれば工房で相談してみるのが一番だと思います。
初めての3Dプリンタ(切削)で躓いたポイント
最後に、パーツをいくつか削り出してモノができつつあるので、ここまで来るのに躓いたポイントなどを整理します。
出来上がったパーツを接着材でくっつけて下地処理を始めたところです。
形が見えてくると嬉しいですね。
ちなみに中央のレンズを付ける部分には透明アクリルを取り付けて、内部からLEDなどで点灯させる予定です。
加工可能サイズの制限
ほとんどの失敗ケースはこれです。素材の厚みによってドリルの長さが制限されるため、加工可能なようにパーツを分割する必要があります。
ワークテーブルの加工可能厚みは9cmくらいあるのですが、ここに作業用の台座をおく必要があり、素材はその台座の上に置きます。
5cm厚のものを置くと、ドリルは3~4cm程度しか露出できないので、これが加工可能範囲に影響してきます。
単純な例では「穴をあけようとするとドリルの根本がぶつかる」「凹凸の差が激しい形状でもドリルの根本が凸部分にぶつかる」など。
これはパーツ分割を工夫して解決しました。
加工時間が長い
ドリルを移動するという制約上、どうしても加工時間が長くなりがちです。
解決策をいくつかあげておきます。
- 加工する方向を変える
- 両面加工ではなく、支えナシの片面加工を2回する
などです。
どちらも目的は「ドリルの不要な移動回数を減らす」ことにあります。
まず、加工する方向を変えるという話。
ドリルの動きを見ると、だんだんと深い階層へと彫り進めていく動きをしていることに気づきました。同一階層で2回切削する必要があるときは、一旦ドリルが上がります。
ということは、同一階層の切削を一度で済ませられるようにモデルの向きを変えてあげれば、不要な移動がなくなるので加工時間が短くなります。
また両面加工ではその特性上、支えが必要になります。(支えがないと切り出したものが落ちてしまう)
この支えがクセモノで、「この部分は削ってはいけない」ものとして扱われます。
つまり、ある深さの個所を切削していて支えの隣まで来たとき、ドリルの移動停止、上昇、支えを超えるように移動、ドリルの下降という動作が行われます。体感で3秒程度です。
これが一度だけであればいいのですが、切削型3Dプリンタは深い階層へ順に加工を行うように進んでいくので、1mmずつ切削、支えは一番浅い場所に4方向つける、30mm地点が最深部という条件下では、30*4*3秒もの時間が不要にかかることになります。
とりあえずノウハウはこのあたりで。
だんだんと形ができてきたので完成目指してがんばろー!
ff14戦記装備コスプレ造形部分の制作
タイラスがんばって作ってます。かたりぃなです。
3Dプリンタでの出力データを作っていますが、実物が見えないから出来上がりの状況が分かりにくいがゆえにモチベーションだだ下がりです。
そんなわけで現在までに作り終わってる衣装のほうをアップロードしてモチベーションアップを図ろうと思います。ほとんど自己満足の世界。
武器はタイラスとして、それに合わせるのはff14の戦記装備(ヒーラー)です。
どっちも煌びやかなので全部揃うとイベント会場でも目立つだろうなと思っています。
まあff14コス自体が(コスプレとしては)マイナーという弱点はありますが。
さて、 戦記装備の上から順に紹介。
首回りのアーマー正面図
首回りのアーマー背面図
布をかぶせているのは、完成をイメージしやすいのと、塗料の節約のためです。
ガイアノーツのパールゴールドで塗装したのですがパールカラーは私が思っていたよりも発色が悪く、幾度も重ね塗りをしないとこういった煌びやかな金色が出ませんでした。これは下地の影響もあるかもしれません。
なので、塗らなくてもいい部分(=基本的に見えない部分) は塗装しない作戦で行くことにしました。
首回りアーマーの素材
ゲーム内で見る限り、かなり重厚な作り(ヒーラーなのに金属鎧っぽい)に見えます。
色々悩んだ結果選んだ素材はこのようなもの。
最初はブライトゴールドで塗装しましたが、金色の輝きが無いので作り直し。パールゴールドだと写真のように輝く金色が表現できました。
基本素材:ライオンボード5mm厚
襟部分の装飾:ライオンボード5mm厚
接着材:G10ボンド
塗装下地:ジェッソ標準粒子タイプ
塗料:ガイアノーツ社パールゴールド(品番132)
肩アーマー
肩アーマーの素材
こちらもゲーム内ではかなり重厚な作り(金属)に見えます。
色々悩んだ結果選んだ素材はこのようなもの。
特に銀の装飾部分は凸部分が多くイベント会場などで結構気を使うことになりそうです。人にぶつかっても危険が少ないよう、すぐ曲がる3mm厚のライオンボードにしました。
基本素材:ライオンボード5mm厚
フチの銀装飾:ライオンボード3mm厚
フチの金装飾:ライオンボード3mm厚
装飾部分の凹凸:グルーガンでグルースティックを塗り付け
接着材:G10ボンド
塗装下地:ジェッソ標準粒子タイプ
銀塗料:ガイアノーツ社ブライトシルバー(品番009)
金塗料:ガイアノーツ社パールゴールド(品番132)
着用方法:内側マジックテープ
小手装備
小手の素材
こちらも(以下略)。金属質ですね。
小手の装飾は3mm厚にしようかと思いましがが、ペラペラになってしまうとイメージと全然違ってくるので5mm厚にしました。
材料に余裕があったので、装飾のアクセサリもついでに作りました
基本素材:ライオンボード5mm厚
装飾の凸部分:ライオンボード3mm厚
装飾の凹部分:はんだごてでライオンボードを彫る
装飾アクセサリ:ライオンボード3mm厚を2枚重ね
接着材:G10ボンド
塗装下地:ジェッソ標準粒子タイプ
金塗料:ガイアノーツ社パールゴールド(品番132)
造形パーツのつくりかたの手順
各パーツはだいたい同じ手順で作っているので、一番最初に作った首回りのアーマーだけ詳しく解説します。
もし他のパーツの細かい作り方の手順を知りたいという方がいたらコメントいただければ、時間のあるときに追記します。
大きく分けて次の3つです。
- 型紙づくりとライオンボードの切り出し・接着(造形)
- 塗装の下地処理
- 塗装
各作業の詳細です
型紙づくりとライオンボードの切り出し・接着(造形)
あちこちのサイトで造形パーツの作り方はやっているので、細かい手順はそちらを見てもらったほうが良いかと思います。
ちなみに私は短時間で作ることよりもイメージどおりのものを作ることのほうを大事にするタイプなので、各工程ごとに試しにセロハンテープでくっつけて試着して修正…という作業をしていますが、以下の説明では省略しています。。
- ケープの型紙を適当なサイトからダウンロードして、紙で基本を作ってイメージに合わせて補正します
- 型紙をもとに5mm厚のライオンボードをカットして熱加工して曲げます。
- 2で作ったライオンボードを紙にあてて、襟を付ける部分の輪郭を描き起こし、襟の型紙を作ります
- 襟パーツを型紙に従って切り出して同様に熱加工します
- 3と7で作ったライオンボードをG10ボンドでそれぞれ接着します(曲面がずれていて接着しずらいときは接着面を少し削るなどして対応)
- 襟の型紙をもう1枚作り、これを切り出して襟の模様の型紙を作ります。
- 6の模様の型紙をもとに5mm厚ライオンボードを切り出します
- 5と7で作ったパーツをG10ボンドで接着
塗装の下地処理
これは非常に大事な処理で、私も初めてやったときは失敗しました。
たぶん誰もが一度は通る道だと思うので、塗装する前に端材のライオンボードを使って、どのくらいジェッソを塗ればよいか試したほうが良いです。
ジェッソが勿体ないとケチっていると、数週間かけて作ったものがすべてパー……ということになってしまいます。(経験者談)
というわけで下地処理の手順。
- ボンドが乾燥(一日くらいは放置)してから下地材のジェッソ薄めずにライオンボード表面の凹凸が見えなくなるくらい塗ります
- 9が乾燥(一日放置)してから、少し水で薄めたジェッソを重ね塗りしていきます。これを3~4回繰り返します。毎日仕事から帰って一度塗るくらいのペースで。
- ジェッソに筆のあとが強く残っている個所は紙やすりで削って平らにします(やりすぎるとライオンボードが露出してしまうので注意)
- もし3の手順で削りすぎたときはもう下地処理をやりなおしです。
塗装
使い始めてまだ間もないですが、今回はエアブラシで塗装します。エアブラシが無いときや塗料切れのときはスプレーで。
また今回は塗料と時間の節約のためにエアブラシの無茶な使い方をしています(撹拌の方法とか)。細かく塗り分ける必要があるジオラマやプラモの世界の人からは怒られるかもしれません。あくまで私なりのやり方ということで。
では塗装の手順。
- ガイアカラーの塗料のふたを開けて、かくはん(混ぜるということ)します。撹拌棒がなければ割りばしで。特にパールカラー、メタリックカラー塗料は瓶の底に粒子が溜まっていることが多いのでしっかりと。
- エアブラシのカップに塗料を注ぎ入れ、そのうえからガイアカラー薄め液を注ぎ入れます(本来は塗料皿でやることらしいです)
- エアブラシを洗浄するときのようにうがいをして塗料を撹拌します
- 適当な素材に試しに吹いてみて、塗料の濃度を調節します
- うまくいく濃度であればいざ塗装
- パールカラーで重ね塗り(ガンプラの本によるとキャンディ塗装というらしい)するときは、一度乾燥させてから。
- 塗り終わったらエアブラシの洗浄を忘れずに
ここまで作ってみての感想・まとめ
今までラリッサ張りで造形物作っていましたが、エアブラシ塗装と比べてメリット・デメリットがあると思います。
- 凹凸の模様は塗装仕上げのほうがそのまま残る。対してラリッサや合皮張りではなめらかになる。
- 塗装ではボンドのはみだし跡なども残ってしまうのが難点。ジェッソなどの下地材でしっかり埋めましょう。
- 塗膜保護にトップコート使ってみたけど、ライオンボード曲げると塗膜がひび割れてしまいました。グロスメディウムかジェルメディウムにすれば耐えられたのかも?
- コスプレ衣装の塗装用としてのエアブラシはダブルアクションではちょっとオーバースペック気味。塗る範囲が広いしグラデーションかけるわけでもないので、ダブルアクションだと手が非常に疲れる。
- エアブラシの試し吹きは絶対にやっておいたほうが良いです。特にパールゴールドを濃い状態のまま吹き付けると、砂を吹いたような状態になってしまうので注意。
参考にさせていただいたサイトなど
造形の基本的な手法はこちらのサイトを参考にさせて頂きました。
エアブラシはこちらの店舗の店員さんに相談してコンプレッサー含めて一式購入しました。
一人で考えるよりもその道のプロに話したほうが分からないこと聞けるのが良いですね。
模型ファクトリーの店員さんにお勧めされて一緒に購入したガンプラの本も役に立っています。エアブラシの使い方のほかにもプラ板のヒートプレス加工とか。(でもプラモにはさっぱり興味ないのです。ゴメンナサイ。)
ジェッソはこちらのお店で購入しました。美術をやってる人の間では有名な世界堂。
長くなりましたが今日はこのくらいで。
blenderで3Dプリントするまでのトラブルシューティング
作業の途中経過を投稿しようと思ったけど、試行錯誤していたらいつの間にやら完成に近い状態になってしまいました。
全体のまとめ
3Dプリンタ万能かのごとく騒ぎ立てられたけど、そんなことはないです。
加工にかかる時間やモデリングのコストが半端ないです。
試行錯誤できるのはデジタル加工機の強み。
モデリングしてみてイメージと違う場合は少しいじってみたりとか。
こういった生産量の少ないもの(一品モノ)を3Dプリントするのはアリかもしれないので、まずは一本タイラスが完成するまでやってみようと思います。
3Dプリンタは産業革命以来の革命を起こすとかナントカ騒がれたときもあったけど、現在のような工場での大量生産体制での3Dプリンタはせいぜい試作品の出力が限度でしょう。
それでもコスプレ小物のような一品からという小ロット生産モノでは3Dプリンタは活躍していくんじゃないかなぁと妄想。
家内制手工業じゃないけど、現在の工業とは異なるもう一つのものづくりとして成長するだろうと思っています。
たとえばB2Cという形態ではなくC2Cという形態で活躍するものづくりマシンとして。
というわけで経済論みたいな難しい問題は置いといて、
一通りblenderでのモデリングがおわったFF14のタイラス。
色々と試行錯誤やってて思ったこと。
- 一般的な3Dプログラミングの知識があったほうが有利なんじゃないかなー
- 効率的にそれっぽいものを作るにはトレースよりも色々工夫したほうが早いし綺麗にできる
- 最終的に3Dプリンタで出力するときのことを考えつつやったほうが良い
今回の記事では思ったことを列挙したうえで、それぞれの思惑、問題に対するトラブルシューティングの方法、3Dモデリングをやるうえで知っておいたほうがいいんじゃないかなという知識を整理します。
3Dプログラミングの知識
私自身のことですが過去に某3Dゲームに携わったり、趣味ではDirectXやOpenGL使って色々やってましたので、そのあたりの知識が活かせた気がします。
一般的な3Dプログラミングの知識ナシでいきなりモデリングやるとおかしなところで躓くんじゃないかなぁと思います。
具体的な例としては
- 作ったメッシュ(3Dモデル)がなぜか真っ黒になっている。一部だけ真っ黒になる
- 移動、回転、拡大などの操作で期待と異なる動きをする
- 曲線や曲面の表現
- マテリアルの設定
以下はそれぞれの問題と対策、知っておいたほうが良い知識です。
メッシュが真っ黒問題の対策
blender内でメッシュが真っ黒になる現象の主な原因は「法線の反転」。
法線といっても色々ありますがここでは面法線、「ポリゴンの面から垂直に伸びる法線」のこと。
法線のことだけでは何でそんなものが必要なのかさっぱりですが、具体的な使われ方を知っていると、問題解決が早いと思います。
3Dプログラミングではこの法線情報と光源(ライト)の情報をもとに明るさが決定されます。
つまり、モデルの製作者はポリゴンの表だと思っていても、法線情報が逆転しているとblender内で「裏を向いている=光あたっていない=真っ黒な影だよね」と扱われてしまいます。
また、モデルの一部だけ黒くなってしまう問題ではこの法線情報が一様でないことがあります。(面を差し込んだり拡大縮小すると起きる)
法線はXYZのベクトル情報ですが、このベクトルの向きが同じでも長さが異なることがあります。
わかりやすい例でいうと、法線p(x=1,y=1,z=1)と法線q(x=2,y=2,z=2)では同じ向きだけども長さが違います。
この情報をもとにモデルを画面に描画してしまうと、プログラム内部ではこの法線のベクトルをそのまま使うので、同じライトを当てていても法線q(x=2,y=2,z=2)が設定されているポリゴンのほうが明るく見えます。そこで一般的には「法線の正規化」を行い、「すべての法線の長さが一様になるよう」にします。
このような「反転ポリゴン」や「法線が正規化されていない」などの問題を残したままにしてしまうと、STL形式として3Dプリント用データをエクスポートした時に反転ポリゴンであるといわれてエラーとなってしまいプリントできなくなってしまいます。
蛇足ですが、カリングモードの問題には直面しなかったので、カリングモードはOFFとなっていて、面の表裏の判別は法線情報のみを参照しているように思われます。
裏向きポリゴンの修正方法
「TAB」キーを押して編集モードに入る。
「N」キーを押してツールシェルフを表示する
「ツールシェルフ」の「メッシュ表示」カテゴリの「法線」から、「面法線」を選択する。
「A」で全部の面を選択する、もしくは真っ黒ポリゴンの面を選択する。
「N」で法線の正規化を行う。全部のポリゴンが裏を向いてしまっている場合は、Nキーを押したときに出てくるツールの「内側」にチェックを付けると法線が反転します。
移動、回転、拡大などの操作で期待と異なる動きをする
回転やミラーリングなどで起きがちなのですが、原点がずれている、回転軸がローカルとグローバルで異なっている、などといったことが多いです。
原点とは、回転、移動、拡大などの操作の基準となる点です。
原点のわかりやすい例では自転(地球が地軸を中心に24時間で一回転する)のと公転(太陽を原点に地球が一年かけて回転している)のようなものです。
3Dプログラミングでもこの考え方で、地球は太陽からの相対的な位置を設定するなどで計算が行われます。
これ以外にも、お椀型のオブジェクトが回転しなくなるなどの現象(ジンバルロック)もありますが、これに関しては設定はあまりいじらないほうが良いと思います。
具体的にはY軸を中心に回転体を生成したとき、Y軸を中心に回転させても、何も変化が見られない(陶芸のろくろを回転させるイメージ)といった現象です。
原点の設定か操作座標系の設定でたいていは何とかなるはずです。
それでもどうしても回転軸の順序を変えたいときのために方法だけ残します。
原点の設定
「TAB」キーを押してオブジェクトモードに戻して
「ツール」の「編集」から「原点を設定」です。
私がよく使うのは「原点を重心に移動」ですね。
操作の座標系の設定
画面下部のマニピュレータの座標系を目的のもの「ローカル、グローバル etc.」に設定します。
お椀型のオブジェクトが回転できない対策
「TAB」キーでオブジェクトモードに切り替えて
「N」キーでツールシェルフを表示する
「トランスフォーム」カテゴリの「XYZオイラー角」を任意の回転順序のオイラー角もしくはクォータニオンに設定。
曲線や曲面の表現
曲面をもつ飾りなどの作り方ですが、最初は背景の絵を設定してトレースしていました。
しかしこれでは出来栄えがよろしくなかったので、曲線や曲面を上手に使うことが必要になると思います。
ただし、曲面はポリゴン数が増えがちで、3Dプリンタの加工時間も長くなってしまうので、トレードオフの問題が出てきます。
それでも、せっかく3Dプリンタで出力するのだから手作りでは出せない精密さを出したいですね。
曲線や曲面は技術要素が多いので、ここではキーワードや簡単な操作の列挙だけに留めます。
ベジェ曲線に沿ったオブジェクトの配置
「作成」の「ベジェ」で曲線を作れます。ただし、デフォルトのままベジェ曲線を生成するとXZ平面上に配置されてしまうので、最初は戸惑うかもしれません。
(今回はXY平面上の飾りを作りたかったので)
また、三次元空間上にベジェ曲線を置こうとすると、「ねじれ」が発生します。
ベジェに沿ってモディファイアのカーブを適用するとねじれがそのまま出てきてしまうので慣れが必要です。
この「ねじれ」をそのまま残してしまうと先述のような裏向きポリゴンになってしまうこともあるので要注意です。
モディファイアのカーブで期待通りに曲がらないときは、メッシュ細分化されているか、軸は正しいかなどの確認が必要です。
マテリアルの設定
マテリアルとは直訳すると素材です。
3Dプリンタで出力する場合は、ここでの素材はあまり意味を持ちません。(現実に使用した素材でプリントされる)
製作途中でイメージどおりかどうか確認する意味も含めてだいたいでいいのでマテリアルは設定しておいたほうがよさそうです。
なぜなら、マテリアルの色や光沢によって凹凸の表現ができたりすることもある(暗い色は凹んで見えるなど)ので、ポリゴンだけですべて表現するのではなく全体のイメージを見るためにもこれは大事な作業だと思います。
今回のタイラスでは金色装飾はエアブラシを使ってガイアノーツ社のパールゴールドを吹き付ける予定です。
マテリアルの設定では光を反射しやすいカラーとして、スペキュラー成分を高くしました。
これらは3Dプログラミングで一般的に使われる「ディフューズ」や「スペキュラー」の意味そのままなので、知識があったほうが設定しやすいです。
またディフューズとスペキュラーには「シェーダーモデル」が設定できるので、3Dプリントに使う素材や出力後の塗装に合わせてそれっぽいものを設定しておくと「完成に近づいてる」感が出てモチベーションupにもなります。
シェーダーモデルは私自身あまり詳しくないので、以下のリンク先のイメージを比較して、自分の塗装予定のイメージに合うものを選びました。
Doc:JA/2.6/Manual/Materials/Properties/Diffuse Shaders - BlenderWiki
Doc:JA/2.6/Manual/Materials/Properties/Specular Shaders - BlenderWiki
(このシェーダーは多分GPU上の演算のやつのことだろうと思ってるけど、まだ確証ナシ。。。)
長くなったけど今回はここまで。